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【まず要点を確認】
 

生命保険はギャンブルの一種である

・参加者が投じたお金が配分されるという仕組み
・受け取れるか掛け捨てになるがに運の要素が絡む
・不幸の宝くじ
 

金融商品である


・保険会社は利益を取っている
・付加保険料は最大で6割
・生保レディなどの販売手法におけるコスト高が主な原因
 

目的

・残された人の生活を守る
・主に奥さんや子供
 

受け取れる確率

・死亡率が1%を超えるのは男性で65歳、女性で75歳から
・20代では1000人に1人もいない(統計的には無視できる確率)
・40歳で期間10年の保険に入って、受け取れるのは男性で2人、女性で1人
 


なぜ加入する人が多いのか

・人は良いことの確率と悪いことの確率を誤認する
・「愛情である」という宣伝
・残された者が路頭に迷うという誤解
 
  

”確率の錯覚”を利用した金融商品


この世の中に宝くじが存在するのは僕たちが確率を正しく計算できないからだけど、
同じように”確率の錯覚”を利用した金融商品が生命保険。
 
宝くじを買うと、あらかじめ決められた確率
(1年以内に交通事故で死ぬよりもはるかに小さな確率)
で億万長者になれる。
 
生命保険に入ると、年齢別の死亡率に応じて保険金が支払われる。
唯一の違いは、
宝くじに当たると嬉しいけど、保険金を受け取るときは死んでいるということ。
 
そういう意味では、生命保険は“不幸の宝くじ“と言える。
 
 

めったに人は死なない


不幸の宝くじの「当選確率」は人口動態調査などから簡単に調べられる。
 
日本のような長寿社会では、めったなことでは人は死なない。
死亡率が100人に1人(1%)を超えるのは、
男性で65歳から、女性は75歳から。
 
 
40歳で期間10年の生命保険に入ったとして、
保険金を受け取るのは男性でおよそ100人に2人、女性は100人に1人。
残りの98人の男性と99人の女性は”はずれくじ“を引くことになるけど、
満期まで息災だったならこれは喜ぶべきこと。
生命保険は、「外れることに意味のある宝くじ」でもある。
 
 
もしも人が完全に合理的なら生命保険に入ろうとは思わない。
 
それでも保険が成立する理由の1つは、
僕たちが良い事の確立(宝くじに当たる)と同じように、
悪い事の確率(病気や事故で死んでしまう)も、
実際よりかなり高く見積もっているからだ。
 
 
生まれたばかりの子供をあやしながら、
明日、自分が死んだらこの子はどうなるだろうと不安に思う。
20代の死亡率は1000人あたり1人を下回っているから、
若い親が自分の死を考える事は統計的には意味がない。
 
それでも親の愛情は、最悪のことを想定して子供の安全と幸福を願う。
こんな時こそ、生命保険は役に立つ。
 
 
 

正しい “宝くじの買い方“

 ① 最も経費率の低い生命保険に加入する
 ② 保障は必要最低限にする
 ③ 保障が不要になったらすぐに解約する

宝くじより割の悪いギャンブル

日本の大手生命保険会社は、驚くべきことに、
これまで保険の原価を企業秘密として一切公表していない。
(ライフネット生命が初めて公開した)
 
隠さなければならない理由は、
付加保険料(保険会社の手数料)がものすごく高いから。
 
期間10年の定期保険では手数料率が6割を超える(!)ものもあって、
悪名高い宝くじ(経費率5割)より割の悪いギャンブルになっている。
 
生命保険の経費率がこんなに高いのは、
保険外交員を大量に雇って会社訪問する販売方法にコストがかかりすぎるから。
それに対して対面販売をしないネット保険や共済保険はその分だけ保険料が安いから、
その中から自分に適した商品を探せばいい。
 
保険会社は「大きな保証は大きな愛情」と宣伝するけど、
保険金が高額になれば保険料は上がり、保険会社の儲けも大きくなる。
 
  
 

幼い子供が路頭に迷うことはほぼない


そもそも日本のような豊かな国では、
両親に不幸があっても祖父母や兄弟、親戚が面倒を見るだろうから、
実際には幼い子供が路頭に迷うような事はほとんどない。
 
国民年金や厚生年金から遺族年金も支給されるので、
冷静に考えれば必要な補償額は思ったよりずっと少ないはずだ。
 
満期まで律儀に保険料を払い続けている人もいるけど、
子供が成人したり、十分な貯蓄ができれば、もう生命保険による保証は必要ない。
 
 
加入者は生命保険から「安心」を手に入れる代償として、高い経費を負担している。
別の方法で安心が確保できれば、無駄な保険は真っ先に解約すべきだ。
 
 
 
 

「掛け捨ては損だ」という思い込み


保険会社は生命保険の商品設計にあたって、僕たちのもう一つの錯覚を利用している。
 
それが、「掛け捨ては損だ」と言う思い込み。
 
生命保険は“不幸の宝くじ“で、満期まで生きていれば支払った掛け金は戻ってこない。
だからこそ多額の保険金(当選金)が払われるんだけど、
ほとんどの人はこの単純な仕組みを理解しない。
 
 
宝くじに外れた人が
「払った宝くじ代金が没収されるのはおかしい」と文句を言うのは理不尽だろう。
そう思うなら、最初から買わなければいいだけだ。
 
ところが保険では
「保険料(掛け金)が掛け捨てなのは損だ」という奇妙な理屈が蔓延している。
さらには保険会社が、誤解を正すどころか
それを利用して保険と貯金を合体させると言う摩訶不思議なことをしている。
 

「生命保険は宝くじと同じ」という原則に立ち戻ってみよう。
あなたは宝くじで貯金しようと思うだろうか。
そんなことを真面目に言えば、一度病院で診てもらったほうがいいと忠告されるのがオチだ。
 
 

終身保険や養老保険、個人年金保険は貯蓄型保険と呼ばれる。
その仕組みを簡単に説明すると、
1枚300円の宝くじ代金を500円に値上げして、差額の200円を貯めておき、
何年(何十年)か経った後に経費を差し引いて払い戻すというもの。
 
掛け捨ての生命保険は損をするような気がするけど、
貯蓄型保険と組み合わせると、掛け捨て部分が見えにくくなって商品の魅力が増す。
おまけに保険会社は、2つの保険から手数料を徴収できる。
 
医療保険やがん保険等にも加入させて、
1人の顧客からできるだけたくさんの保険料を受け取るのが保険ビジネスの基本だ。
 
 


あなたのお金を運用する保険会社

保険会社は、集めた保険料を日本国債等で運用している。
銀行もまた、預金を国債に投資して定期預金等の利息を払っている。
 
貯蓄型保険は、加入者からすると
保険会社にお金を払って定期預金するのと同じだ。
 
銀行に預金するのに経費はかからないから、
”宝くじ“と貯蓄を分離して、自分で貯金を積み立てた方が有利な事は明らか。
 
貯蓄型保険は、資産運用としてはほとんど意味がないんだ。
(80代から90代半ばに加入した終身保険の貯蓄部分は、
保険会社の持ち出しで4〜5%の高い金利で運用されている。
これが「お宝保険」と呼ばれるもので価値のある貯蓄型保険はこれだけ)
 
じゃあなぜ、これほど多くの人が貯蓄型保険に加入するんだろうか。
実はそれにもちゃんと理由がある。
  
 

公共料金と錯覚させる仕組み


保険のもう一つの特徴は、保険料が銀行口座から自動引き落としされることだ。
一旦引き落としが始まると、僕たちはそれを
公共料金等の支払いと同じだと錯覚する。
 
保険は「愛情の証」とされているから、保険料を払わないのはどこか後ろめたくもある。
こうして、遊興費を節約して将来のために貯蓄できるようになる。
 
人は現在の楽しみをあきらめて
何十年も先の老後のために積み立てをするほど合理的じゃない。
だからこそ、損をしながら「宝くじで貯金をする」と言う不合理な仕組みに頼っているんだ。
 
 

まとめ 入るかどうかは人による


生命保険はギャンブルの一種である

・参加者が投じたお金が配分されるという仕組み
・受け取れるか掛け捨てになるがに運の要素が絡む
・不幸の宝くじ
  

金融商品である

・保険会社は利益を取っている
・付加保険料は最大で6割
・生保レディなどの販売手法におけるコスト高が主な原因

目的

・残された人の生活を守る
・主に奥さんや子供
 

受け取れる確率

・死亡率が1%を超えるのは男性で65歳、女性で75歳から
・20代では1000人に1人もいない(統計的には無視できる確率)
・40歳で期間10年の保険に入って、受け取れるのは男性で2人、女性で1人

なぜ加入する人が多いのか

・人は良いことの確率と悪いことの確率を誤認する
・「愛情である」という宣伝
・残された者が路頭に迷うという誤解

正しい “宝くじの買い方“

 ①最も経費率の低い生命保険に加入する
 ②保障は必要最低限にする
 ③保障が不要になったらすぐに解約する