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量的金融緩和とは一体なんだったのか?
アベノミクスを振り返る。
アベノミクスで本当に得をしたのは○○!?
 

量的金融緩和とは

量的金融緩和ってなんだったんだろう。
  
景気刺激策の1つだ。
つまり量的金融緩和は
「景気よくしよーぜ」という時に行われる施策の1つだ。
  
 
景気刺激法は大きく分けて2つある。
 
① 財政政策
② 金融政策
 
 
 
①の財政政策は「国のお金の使い方」によって景気を刺激しようという考え方だ。
 
例えば公共事業をすることがこれに当たる。
国が道路を作り、橋を作り、ダムを作ることにお金を使う。
 
原材料が売れて建設会社の従業員に給料が払われる。
それが外食産業や嗜好品に向けられれば、お金の循環が起こる。
それによって景気をよくしようとする考え方だ。
 
 
②の金融政策は「お金自体をいじる」ことによって景気を刺激しようという考え方。
 
例えば金融機関の金利を下げることがこれに当たる。
銀行の金利が下がってなぜ景気刺激になるのかというと、

 
貸し出し金利が高ければ、
誰も銀行からお金を借りて家を買ったり事業を行おうとは思わない。
でも貸し出し金利が低ければ家を買ったり事業を行ったりしようとする人が増える。
  
結果として社会にお金の循環が起こり、景気刺激になる。
それが「金利を下げる」という、従来の金融政策の考え方だ。

そう。
かつて金融政策といえば金利を下げることだった。
 
でも2000年代に入って、全く新しい金融政策の考え方が現れた。
それがこの記事で解説する「量的金融緩和」だ。

お金の量を増やそう

量的金融緩和とは金融政策の一種だけど、
金利じゃなくて
「『お金の量』をいじることで景気を良く出来るんじゃね!?」
っていう景気刺激の考え方だ。
 
 
緩和ってのは緩めるってことだ。
量的に緩める。
量を絞っていたけど、緩める。
つまり通貨を大量に発行しましょうということ。
  
 
 
量的金融緩和とは、
『紙幣を大量に刷り増すことによって景気を刺激』しようとする
新しい金融政策の考え方のことだ。 
 
 
金利を下げることが景気刺激になる理屈としては
「お、金利低いじゃん。金借りて買い物しよー」
で説明できることはさっき説明した。

それに対してお金の量を増やすことで景気刺激になる理屈は
「超金持ちになったわ。買い物しよー」ということもあるけど、
実は結果としてそれも金利引き下げになるからだ。
 
 

お金の量を増やす方法

じゃあ「お金の量を増やす」のは実際どうやるんだろうか。
中央銀行がお金を刷り増すというのはわかるけど、
その刷ったお金をどうやって社会に流通させるのか。
 
黒田日銀総裁が戸別訪問して
「あ、これ、さっき日銀で刷ったお金です。どうぞ」
って感じで持ってきてくれるか?
 
少なくとも僕の家には来てくれなかった(笑)
つまりそういう方法ではないってことだ。
 
 
実際どうやるのか?
方法は簡単だ。
「中央銀行が、各金融機関から国債を買い上げる」。
以上だ。

 
 
「?」って思うかもしれない。
なぜ国債を買うことによって社会にお金を供給することになるのか?
詳しく説明するから安心してほしい。
 
 
 
まずここに前提を置かせてほしい。
各金融機関は日本国が発行している国債を大量に保有している。
 
この前提がないと以下の話が分からなくなってしまう。
金融機関はあなたから預かったお金を金庫に保管していない。
運用に出している。
 
どこに運用に出しているかというと
個人の住宅購入や企業の経営資金だったりするんだけど、
運用先として国債を買うこともある。
 

買うこともあるどころか、最近の金融機関は運用に出さずに国債ばっかり買っていた。
なぜかと言えば国債は持っているだけで安全確実にお金が増えるからだ。
 
とりあえずここまでが前提だ。
各金融機関は安全な運用先と考えて
国債を大量に保有している。
 
 
   
 
ここで本題に戻る。
日本銀行は日本の景気を良くするために景気刺激策として量的金融緩和をしようと考える。
つまり大量に紙幣を発行して社会に流通させようとする。
そこで大量に発行した紙幣で各金融機関が所有する国債を買い上げる。
 
 
 
買うって行為は“お金と物の交換”でしょ?
 
てことはだよ。
金融機関が持ってる国債を奪い取って、
かわりに大金を渡す事になるよね。
 
「オラ、その国債よこせよ。金なら払ってやるからよぉ」
って感じだ。
実際、日本銀行はそうやって全国の金融機関から国債を
買って買って買いまくった。
 
だから金融機関にお金が貯まる。
その貯まったお金を金融機関はどうするか。
 
金融機関同士はお金の貸し借りをしている。
各金融機関がお金を大量に保有することになると
金融機関同士のお金の貸し借りの際の金利が安くなる。
それは貸出金利にも影響するということだ。
 
 
貸出金利が下がれば同じだ。
多くの人が金融機関からお金を借りて消費を行う。
それにより社会にお金が循環する。
 
 
つまり
日銀で発行された紙幣は各金融機関へと貯まり、
それが「貸し出される」という形をとって
社会にお金が出て行くことになるわけだね。
量的金融緩和というのはこれを狙って行われる。

 
 
 
 

「え、そんな回りくどいことせんでも、
日銀が刷ったお金で“直接”国債を買い上げりゃいーじゃん」
って思ったあなたはすげー優秀だと思う。
僕は最初ポカーンだった。
難しい。意味不明。
 

実は中央銀行が刷ったお金で直接国債を買い上げる事は禁止されてる。
かつてドイツがそれをやって混乱を来した。
ハイパーインフレってやつだ。

なぜお金を刷ると物価が上がるのかはこれから説明する。
とにかく、ハイパーインフレが起きないようにしている。
 
発行された国債を直接ではなく、
一度金融機関が買ったものを
そこから買いましょうということなんだね。

 

アベノミクスを振り返る

安倍晋三総理が打ち出した経済政策、アベノミクス。
この政策で得をしたのは誰だったかを一緒に考えてみたい。
 
   
まずアベノミクスの三本の矢は

① 機動的な財政出動
② 大胆な金融政策
③ 投資を呼び込む成長戦略
 
の3つだ。
  
 
今回の記事では量的金融緩和について確認しているので、
②の大胆な金融政策の柱である量的金融緩和の視点で考える。
 
 
  
安倍総理と黒田日銀総裁がタッグを組んで、
目標インフレ率2%を掲げた。
 
安倍総理が目指した“インフレ”とは一体なんだろう?
学校では「物価の上昇」って習ったよね。
テストでもそれで丸が貰えると思う。
でも本当にそうなの?
 
 
ある商品が100円で買えていたのに、102円出さないと買えなくなる。
これが物価上昇率2%だね。
2%のインフレが起きた。
 
じゃあ考えてみてほしい。
なぜ物の価格が変動したんだろう?
 
 

原材料の価格が上がったから?
じゃあなぜその原材料の価格は上がったの?
  
  
 
変動してない。
実際は物の価格は変動なんかしていない。
 
よくよく考えると分かる。
物の価格が変動するなんて変な話だ。
つまり、物の価格が「変動したように見えている」だけだ。
実際には変動なんかしていない。
 
その証拠に、ドル建てなら変わってない。
その商品が日本円で100円の時に、米ドルでなら1ドルだったとする。
日本で2%のインフレが起きて102円になっても、米ドルでなら同じ1ドルで買える。
1.02ドルにはならない。

 
 
ここで気づけるね。

インフレは物の価格が上がる事じゃなく、
“円の価値が下がる”ことなんだ。
ナンダッテー!!
 
 
円の価値が下がるから、
同じ商品を”より高いお金”を払わなければ買うことができない。
それが物の価格に焦点を当てると
物の価格が高くなっているように見える。
これがインフレの本質だ。
 
インフレ。
インフレーション。
膨張。
経済が実態を伴わずに膨張する。
だから中身は希釈される。
 
 
さっき言った
「中央銀行が直接、発行された国債を買い上げるのが禁止されている」
というのもわかってもらえたと思う。
 
中央銀行が直接国債を買い上げるのを許してしまうと、
お金を刷れば刷っただけ社会のお金の総量が増えてしまって
お金の価値が薄まり続けてしまうということなんだ。
 
それを物価の方に着目すると、物価が急騰しているように見える。
でも実際に起きているのは”貨幣価値の急激な希釈”だ。
ハイパーインフレは物価が暴騰したんじゃない。
貨幣に価値がなくなったんだ。
 
 
 
 

アベノミクスで本当に得をしたのは誰か

アベノミクスで実際に2%の物価上昇が起こったかどうかは
今や日本国民全員が知っている。
 
物価上昇は起きなかった。 
でも実際に物価上昇が起きたとしたならば、どうなっていたんだろうか?
  
 
まず、物価が上がったら国民はどうなるか。
貨幣価格の下落の煽りを最も顕著に受けるのは、
貯金を切り崩して生活する人。
つまり高齢者だ。
 
そりゃそうだ。
口座の額面は同じでも、価値は目減りする。
 
同じ1000万円が額面はそのままに980万円の価値に目減りしてる。
何もしていないのに、20万円分も消し飛んでしまうことになる!
なぜ高齢者がアベノミクスの量的金融緩和に反対しなかったのか謎ですなぁ。
 
 
 
じゃぁインフレが起きたとして、最も得をするのは誰なのか?
 
明らかに“政府”だ。
なぜか。
 
 
日本国が背負っている「借金の価値」が目減りするからだ。
 
日本には1000兆の借金がある。
2%貨幣価値が下がれば?
そう。
額面はそのままに、なんと20兆円分の借金を事実上消すことが出来る。
 
これはまさにマジック。
鮮やかだ。
 
量的金融緩和です!
黒田バズーカです!
 
おいおい待てよ。
2%のインフレがもし起きていたら
僕達の持ってるお金の価値が2%消し飛んだってことだろ。
 
国だけが借金を減らす。
しかも根本的な赤字の原因の解決にはならない。
自分たちが任期を終えるまでの時間稼ぎでしかないってことだ。
 
 
インフレで損をするのは貯蓄がたくさんある人。
インフレで得をするのは膨大な借金を抱えた人。
 
これを覚えておきたい。