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仮想通貨は違法行為の温床なのか⁉︎
マネーロンダリングってなに⁉︎
脅威と便利。この科学技術がもたらすのはどっちだ⁉︎ 
 
【仮想通貨の仕組みとマネーロンダリングの手段】 
 仮想通貨は違法行為の温床になるのか
 

仮想通貨=公開された分散台帳


仮想通貨を理解するには、
そこで行われている
情報管理のシステムを理解する必要がある。
 
仮想通貨に物理的実体はなく、
本質はインターネット上にある情報管理システムで、
簡単に言えば
 
公開された分散台帳だ。
 

 
台帳。
記録をつけたもの。
 
それが、公開され、分散されている。
 
 

台帳ってどういうこと?

まず「仮想通貨は台帳である」というところから説明しようと思う。
 
仮想通貨は物理の実体がない。
交通ICカード、PASMOに入金されたお金のイメージ。
その送金記録が全部台帳に記録されているということだ。
 
 
例えばこういうことだ。
 
 
○月×日 Aさんは10ビットコインを持っている。
    (Bさんはビットコインを持っていない)
 
○月△日 AさんがBさんに3ビットコインを送金した。
     Aさんの残高は7ビットコインになり、
     Bさんは3ビットコインを持った。
 
 
 
こういう記録が全部台帳につけられているということだ。
この情報が記録されたデータのことを
僕たちは仮想通貨と呼んでいる。
 
 
仮想通貨に実体がないのはこのためだ。
”誰々が今いくら持っていることにしようね”という
「記録」が仮想通貨の実体だ。
 
 
例えばビットコインという仮想通貨は
2009年の誕生から現在まで、
ただの一度も改竄・ハッキングされることなく
全ての記録を正確に記録し続けている。
 
 
これが、
「仮想通貨は台帳である」という意味だ。
  
 

分散ってどういうこと?

そして分散という点。
仮想通貨の送金記録の台帳は、全世界に向けて全て公開されている。
誰でも見ることができるんだ。
 
なぜそのようなシステムになっているかというと、
不正を防止するためだ。
 
 
 
誰かが権限を持って仮想通貨を管理しようとすれば
その管理者が不正を働くかもしれない。
 
仮想通貨は
そういった特定の個人の影響をそもそも受けないよう設計されている。
 
 
 
全員がお互いを監視し合っている。
その公開された場で不正はできない。
 
「ビットコイン管理会社」や
「ビットコイン総裁」みたいな人はいない。
 
みんなが管理者なんだ。
みんなが監視している。
 
世界中誰もがこの記録を照会することができる。
だから不正は行われない。
ゆえに誰もが安心して利用できる。
 
 
 
あるいは悪意のある外部からのハッキングや改竄。
そうした攻撃にも仮想通貨はめっぽう強い。
というか、このシステムを破るのは現実的には不可能だ。
 
仮想通貨をハッキングするということは
「自分がたくさん通貨を所持しているように台帳を書き換える」
ということだ。
 
しかし仮想通貨に”中央のサーバー”みたいなものはない。
台帳は世界中に分散されている。
 
つまり仮想通貨の台帳を書き換えるということは
世界中に分散された台帳のデータを
一斉に全て書き換えないといけない。
 
しかも制限時間もある。
システム更新の都合により、10分間だ。
 
 
全世界誰もが見ている目の前で
世界中に分散された台帳全てに不正アクセスし、
取引履歴の記録を全て矛盾なく書き換える。
しかも10分以内に。
 
そんなことは不可能だ。
 
 
 
 
だからこそビットコインは一度も改竄されたことがない。
ハッキングを受けたとニュースになるのは
仮想通貨の「取引所」だ。
 
取引所は仮想通貨を両替できる両替所であり、お店だ。
どこかの県にある銀行に銀行強盗が入ったからといって、
日本円はもう終わりだと言って絶望する奴はいない。
 
 
お店である”銀行”への攻撃と
そこで取り扱われている”日本円”の価値に関係がないように、
お店である”取引所”への攻撃と
そこで取り扱われている”仮想通貨”の価値には
本来的には関係がない。
 
 

システムの複雑さが生む”怪しさ”

人間は自分の理解できないものに対して
怪しいという感情を抱く。
理解が追いつかないものに対して「変なもの」と
簡単に結論を出そうとするからだ。
 
 
つまり、仮想通貨が怪しいと言われる大きな理由の1つに
その仕組みの複雑さがある。
既存の金融の仕組みと全く違うんだ。
 
 
・分散型(分散型台帳)
・P2Pネットワーク(個人間取引前提)
・ゲーム理論(攻撃者であるハッカーを味方に組み込む)
 
 
こういった技術を理解しないと全貌の把握が難しい。
 
発行主体である中央銀行みたいなのもない。
貨幣価値を安定させる総裁もいない。
流通における金融機関も不要。
「これがビットコインです」というような現物もない。
 
 
お金はお金なんだけど、
今まで人類が知っていた「お金」と
全く違う仕組みで動いている。
 
 
複雑ではあるんだけど、ここで重要な点は2つ。
 
 ① 送金の履歴は全て記録し続けられる
 ② その記録は世界中に分散され、一般に公開されている
  
仮想通貨はそういう仕組みのお金だ。
 

仮想通貨はマネーロンダリングの温床⁉︎

仮想通貨が怪しいと言われるのは
マネーロンダリングに使われるんじゃないかという
マイナスイメージも影響しているだろう。
 
マネーロンダリングは悪いことだ。
でも、
仮想通貨でマネーロンダリングが本当に出来るのだろうか?
 

マネーロンダリングって何だろう?

銀行やクレジットカード会社や仮想通貨など
金融に関連する企業や仕組みには
マネーロンダリングの対策が欠かせない。
 
 
そもそもマネーロンダリングとは
マネー(資金)ロンダリング(洗浄)、
日本語では資金洗浄。
 
簡単に言えば
悪いお金を普通のお金にする行為だ。
 
 
ここで言う悪いお金とは
麻薬や武器の密売、人身売買などで得たお金。
他にも賄賂で得たお金など色々ある。
要するに人に説明できない方法で得たお金だ。
 
 
「なんでお前、そんなにお金持ってんの?」
と言われた際に答えられないお金。
 
「武器を密売したからだよ」
「人を売って得たお金なんだ」
「あの企業から脅し取ったんだよねー」
「賄賂でもらったぜ」
みたいなことは言えない。
 
 
まともなビジネスをしているのならなんの問題もないが、
そうでもないのに
何十億や何百億みたいな大金を持っているのは不自然。
警察や税務署、国税庁などから目をつけられる。
 
つまり『悪いことをして得たお金というのは
使いたくても使えない』んだ。
 
これがマネーロンダリングが行われる理由だ。
 
 

具体的な方法

じゃあ、マネーロンダリングには
具体的にどんな方法が用いられるのか。
 
簡単に言うと銀行口座を開設し、
口座間でお金を移動しながら銀行口座を閉じていくことで
記録の追跡を不可能にする、というものだ。
 

 
流れはこうだ。
 
 ① 銀行口座Aから現金を引き出す
 
 ② 口座Aを閉じる
 
 ③ B国で口座Bを開設し、現金を一時的に預金する
 
 ④ 口座Bから現金を引き出して移動させる
 
 ⑤ 口座Bを閉じる
 
 ⑥ C国で口座Cを開設し、現金を一時的に預金する
 
 ⑦ 口座Cから現金を引き出して移動させる
 
 ⑧ 口座Cを閉じる・・・
 
 
 
このように
口座が閉じられることにより
履歴を追いにくくなるというのがマネーロンダリングだ。
 
国をまたいで多数の銀行口座を経由させるほど追跡が困難になり、
出所不明のお金が出来上がる。
 
最後にZ国で任意の通貨に替えれば、
自分の国では貧乏を装いながら
Z国では堂々と豪遊することができるというわけだ。
 

 
 
ポイントは「現金」を使用すること。
口座間のお金の移動は銀行送金ではなく現金で行う。
現金ならば一切の記録が残らないからだ。
 
インターネット上では必ず記録が残る。
しかし現金を持って移動すれば記録に残らない。
 
仮に各国の口座を何十個経由させようと、
「お金の移動は銀行送金を使いました!」ということであれば
バカでしかない。
 
「どこどこの誰々さんが
 いつ、いくらを
 どこどこの誰々さんに送金した」
 
全部残る。
 
 
 
つまりマネーロンダリングにおいて重要なのは
『お金が電子上にある時間を最小化し、
 お金を現金で移動させる時間を最大化する』
というところなんだ。
 
 
 

仮想通貨でロンダリングなんてできない

仮想通貨の仕組みとロンダリングの方法について説明した。
 
 
これらを踏まえてみると
仮想通貨でロンダリングなんかできるわけがないのは明らかだ。
 
 
 
仮想通貨とはどんな仕組みなのか。
ロンダリングとはどのように行われるのか。
その両方を知っているならば絶対に
「仮想通貨はロンダリングの温床になる!」とか
そんな発想にはならない。
何も知らない人がイメージだけでこういうことを言っているということも分かってくる。
 
 
 
マネーロンダリングはそもそも電子上では行わない。
記録を残さないのが肝だからだ。
 
でも仮想通貨は仕組み上、全ての送金記録が保存される。
しかもその記録は全世界に向けて公開されている。
そしてその記録は永遠に消えることがない。
 
一切の不正を許さないのが仮想通貨のコンセプトだ。
全員がお互いを監視し合って不正をさせないシステム。
そのためにすべての送受信を記録し続けている。
 
そんなものを使ってもロンダリングにならない。
仮想通貨を利用して送金するというのは
ロンダリングの目的とは正反対の
世界中の人が見ている場所を通るのと同じだ。
 
仮に汚いお金が通ったと分かれば記録を照会すればいい。
誰から誰に、いつ、いくらが送金されたのかが全て詳細に残っている。
 
 

災いをもたらす脅威の存在か、幸福をもたらす便利な道具か

仮想通貨が脅威なのは既得権益者にとってだけだ。
それ以外の大多数の人にとっては
便利な世の中を実現するための便利な道具でしかない。
 
 
確かに今までの仮想通貨の歴史は決して胸を晴れるものじゃないかもしれない。
黎明期にはアメリカで犯罪組織の支払いに使用され
中国ではマネーロンダリングに使えるんじゃないかと注目され
日本ではギャンブルの対象として大量に売買された。
 
 
 
でも使い方によっては人を十分ハッピーにできるんだよ。
 
銀行網がここまで発達しているのは全世界で日本だけ。
アメリカでは、カリフォルニアからロサンゼルスへのような国内送金でさえ
送金手数料が数千円かかり、
着金まで1週間かかる。
ロスに就職した可愛い息子や娘への仕送りのたびに毎月これだ。
 
 
フィリピンでは10人に1人が海外に出稼ぎに出ている。
彼らがフィリピンにいる家族に仕送りをしようとしても
家族は銀行口座を持っていない。
お土産の箱に現金を入れるか、ウエスタンユニオンに代表される送金の専門業者に業務委託するしかない。
手数料はとてつもなく高い。
 
 
リーマンショックでは多くの人が
銀行や証券会社、格付け会社を信用していたのに裏切られた。
みんなグルになってしかもサブプライムローンの破綻に賭けてさえいた。
 
2008年、既存の金融の仕組みへの信頼は崩壊したんだ。
だからこそ中央銀行や銀行、証券会社を介在しない
どの組織にも依存しない金融の仕組みが考え出された。
 
 
こうした既存の金融の仕組みを変革する可能性を、
仮想通貨は持っているんだ。
 

まとめ 幸福か不幸かは使い方が決める

仮想通貨は道具だ。
摩訶不思議な魔法でもなければ
宇宙からもたらされた未知のテクノロジーでもない。
人間が作り出した科学技術だ。
怪しくも胡散臭くもない。
 
それはビットコインであっても
Facebookのリブラであっても基本的には変わらない。
 
 
 
道具は意思を持たない。
 
包丁は美味しい料理を作ることで人を笑顔にすることができる。
でも人を傷つけることだってできてしまう。
それは包丁が悪いのか?
いや、使い方の問題だ。
 
 
犯罪組織の支払いやマネーロンダリング、
ギャンブルの対象としか見られていない仮想通貨も
十年後には銀行送金問題を根本解決しているかもしれない。
 
 
  
あらゆる科学技術の普及は
最初から順風満帆の経過を辿らない。
 
敵国の基地を正確に爆撃するためのGPSは
一般人でも近くの飲食店を検索できるようにした。
 
男性の性欲の対象でしかなかったインターネットは
世界を1つにして地球の裏側の人とも友達になれるようにした。
 
 
大きな視野で見ることができれば
新たな科学技術というのは
人間の生活を常に、楽に、便利にし続けている。
 
仮想通貨だけが例外になるとは僕には思えない。
 
 
 
 
 
<参考>
マネーロンダリング (幻冬舎文庫)