戦略の失敗は戦術では補えない
ガラパゴス化
持久総力戦 = 国力・生産補給力で勝敗が決まる
決戦戦争 = どこかの戦場での大勝利が勝敗を決める
戦略とは、追いかける指標のこと
Microsoftの戦略
① ソフトの互換性
② ネットワーク効果
プラットフォーム戦略の例 )
・Amazon
・楽天市場
・ヤフオク
・メルカリ
・ユーデミー
・YouTube
ゲームのルールを変えたものだけが勝つ
空戦の戦略
日本=格闘戦
アメリカ=集団戦
ここまでのまとめ
当たらなくても撃墜できる兵器をつくったアメリカ人
射撃精度
日本 | 訓練により個人の能力を極限まで追及 |
アメリカ | 精度を追及しなくてもいい砲弾の開発 (近接信管により、直撃せずとも爆発・撃墜) |
夜間見張
日本 | 驚異的視力の人員に依存 |
アメリカ | 視力に頼らないレーダーの開発 |
おれ的気付き
ここまでのまとめ
「創造的破壊」を生み出す3要素
- 人による創造的破壊
- 新技術による創造的破壊
- 運用方法による創造的破壊
①人による創造的破壊
② 新技術による創造的破壊
③ 運用法による創造的破壊
ここまでのまとめ
「ゲームのルール変化」に弱い日本組織の仕組み
シングルループ学習
ダブルループ学習
戦争における前線の進攻速度の決定要因は?
* 「軽量を追求したこと」であるなら「軽量戦略」
* 「耐久性を追求したこと」であるなら「耐久性戦略」
* 「販売代理店数を追求したこと」ならば「販売店数戦略」
イノベーションを創造する3ステップ
ステップ① 戦場の勝敗を支配している「既存の指標」を発見する
ステップ② 敵が使いこなしている指標を「無効化」する
ステップ③ 支配的だった指標を凌駕する「新たな指標」で戦う
マイクロソフトの指標
アップルの新指標の考え方
- 曲線の外観と斬新なスケルトンカラー、PCのイメージを一新した(iMac)
- 携帯音楽プレーヤーの新ビジネスモデルを創出した(iPodとiTunes)
- スマートフォンの定義を変え、アプリ戦略でユーザーを爆発的に増やした(iPhone)
ここまでのまとめ
勝利に必要な指標を見抜く力があるか
効果を失った指標から離れる難しさ
フイルム企業、イノベーションへの対応の違い

日本 | アメリカ |
錬磨の極限を目指す文化 | 戦闘中に発生した「指標(戦略)を読み取る高い能力 |
体験的学習によって偶然生まれるイノベーション | 相手の指標(戦略)を明確にし、それを差し替えるイノベーション |
勝利の本質を議論できない集団
- 電波で敵を見つけて、その敵を攻撃するなんてことは起こり得ない
- ほとんどの軍人はレーダーの発想を「バカげた戦い方である」と考えていた
- 製作したレーダーに対して「こんなものは兵器として使えない」と難癖をつける
- 艦政本部の兵器管掌責任者まで「レーダーなんていらない」とする
- 試作品を戦艦に設置しようとしても設置場所をもらえない、設置を拒否する
レーダーがない頃
奇襲や!
ぎゃー!
レーダーあり
奇襲や!
お、来るのか。待ち伏せたろ
ぎゃー!
技術的イノベーション自体は
個人の研究者・科学者が行うことができても、
成果に育てられるかどうかは、
組織内に浸透する意識構造に非情なまでに左右されてしまう。
組織全体に対して「勝利の本質」ではなく、
「単なる型」を伝承してはいけない。
型を伝承している側(大多数)は、
同じ組織内で新戦略やイノベーションを発見した人物(少数派)を
排除しようとする意識を持つことになる。
なぜそのような心理が現れるかというと、
まさに自分たちが信じてきたことを覆すネガティブな存在の出現に映るから。
単なる型の伝承を組織内教育として何十年も行ってきた集団にとって、
勝利の本質への議論の転換は、
まさに自分の敵が登場したことに等しい脅威。
このように「本質ではない型の伝承」によって、
組織はイノベーションを敵対視する集団に劣化してしまう。
ここまでのまとめ
一人の個人が行うイノベーションでさえも、
組織の意識構造によって生み出されるか、潰されるかが左右される。
「型の伝承」から離れ、「勝利の本質」を伝承する組織になることで初めて、
所属するすべての人間が変化への勝利に邁進できる集団となる。
米軍のレーダー開発に見る「現場チームの使いこなし方」
当時のアメリカ軍の方針としては、
「研究とその評価についてはもっぱら科学者が担当して
軍人はこれに全く関与しない」というもの。
研究は科学者の方が熟知していることを認めたことで、
将校と研究所スタッフの情報交換が非常に活発に行われ、
スタッフの自主性を引き出すことにも成功。
レーダー開発を成功させた米軍は現場に優秀な人材を発見した場合、
彼らの自主性・独自性を最大限活用し、
最高の成果を生み出せるように導いていた。
米海軍トップの現場活用法
- 優秀な部員を選抜できる(中央だけでなく最前線の優秀な人材も発見できる)
- たえず前線の緊張感を作戦本部に導入できる
- 作戦策定に特定の個人のシミがつくことがない
- 意思決定のスピードアップが可能になる
トップの行動力は組織の利益に直結する
ユニクロの柳井正会長兼社長は
国内・海外のユニクロ店舗の実情を
非常に正確に把握している。
理由は、柳井社長本人が現場に足を運ぶという原則を重視しているから。
トップが現場を自分の目と耳で確認する五つのメリット
- 情報が階層にフィルタリングされて、歪んだ形で伝わることを避ける
- 決定権者が最前線の問題を直接知ることで、改善実施のスピードを上げる
- 誤った情報を基に、不適切な対策を続けている状態に気付ける
- 問題意識が一番鋭い人物が現場を見ることで、新たなチャンスを発見できる
- 現場のスタッフとの意思疎通と、最前線の優れたアイデアをトップが直接検討できる
ここまでのまとめ
組織の階層を伝ってトップに届く情報は、
フィルタリングされ担当者の恣意的な脚色、
都合のいい部分などが強調されていることが多い。
問題意識の強さから、優れたアンテナを持つトップは、
激戦地(利益の最前線)を常に自らの目と耳で確認すべき。
おれ的メモ
現場とトップの認識の違いといえば、
毛沢東の「大躍進政策」の失敗などと重ねてしまう。
大きな権力によって命令を与えられ、
それに逆らえない状況に陥ると、人々は虚偽の報告をするようになる。
現場の実情を汲み、
正しい形でフィードバックをもらえるよう努力することは欠かせない。
ただ、権力構造がある以上は
本当に正直なフィードバックをもらえるまで待つというのは
あまり現実的ではないので、
自らが現場に赴いて状況を確認するなどの対策が必要な分野もある。
日産リバイバルプランは誰が作ったのか?
2兆1,000億円という巨額の負債。
重大な経営危機にあった1999年の日産自動車に、
フランスのルノーからカルロス・ゴーンが
COO(最高執行責任者)として就任し、
「日産リバイバルプラン」なる事業再生プランを掲げた。
彼は日産の各チームのリーダー9人を集め、
「日産が今必要としている改革とは何か、結果を恐れずに革新的な提案をして欲しい」
と伝え、リバイバルプランの骨子となるアイデア、改善提案を懸命に集めた。
結果としてゴーンと新生日産自動車は、
たった4年で2兆1,000億円の負債をすべて返済し、
低迷していたシェアを20%にまで引き上げる脅威のV字回復を成し遂げた。
注目すべきは、
奇跡的なV字回復を果たした改善プランの骨子が
“社内の人間”から生み出されたこと。
「なんだ、ゴーンが何かしたわけじゃないじゃん」
と言いたくなるかもしれないが、ここで注意を向けたいのはそこじゃない。
リーダーが変わっただけで、組織の出す結果が大きく変わる。
それも「もともと内部にいた人間によるアイデア」で。
これはリーダーが柔軟に組織の能力を引き出すことで、
大躍進が成し遂げられた好例。愚かなリーダーは組織の限界を作り出し、
卓越したリーダーは組織の持つ可能性を無限に押し広げて勝利へと導く。
おれ的メモ
JALを再建した稲盛さんの例もそうだが、優れたリーダーは組織の潜在能力を引き出す。
ゴーンさんとかは悪い面ばかり注目されがちだけどそれを追求することに意味はない。
「関心の輪」には一切触れずに、「影響の輪」に集中する。そのためにゴーンさんのいいところを取り入れたい
間違った指標を突き詰めても成功できない
誤った指標を徹底的に優先させた結果として倒産を繰り返した企業がある。
現在はユナイテッド航空と経営統合された、コンチネンタル航空という会社だ。
ゴードン・ベスーンという人物がCEOとなるまで、
倒産寸前かつ消費者評価の極めて低い航空会社だった。
過去に2度倒産しており、3度目の倒産も確実と言われていたほど。
ゴードンが入るまえのコンチネンタルも、当然、成功を目指して頑張っていた。
ただ、ひとつのことにしか目を向けていなかった。それは、コスト。
コスト削減を最優先したため、従業員の給料は哀れなほど安く、商品は目もあてられないほどお粗末になっていた。
まさに骨身を削り、死ぬほど頑張っても、成功のカギを発見できなかった理由はここにある。成功のカギはコストではなかったからだ。
「間違った勝利の条件」を抱えたリーダーに従った結果、現場は疲弊し、勝利の可能性は消え、やる気を完全に失っていた。
ゴードンはコスト削減を唯一のゴールとする方針に終止符を打ち、2つの目標を新たに掲げた。
① 機内の清潔さ ② 便の到着時刻を正確にする(以前は遅延が頻繁に発生していた)
結果、業界が奇跡と呼ぶ回復を達成。
1997年には6億ドル以上の利益を記録した。
ゴードンはエアラインに1番求められている要素を
正確かつ精密に理解したことで、「勝利の条件」を正しく訂正した。
それだけでコンチネンタルは勝者となった。
おれ的メモ
ゴーンにゴードン、ややこしい。
ここまでのまとめ
「間違った勝利の条件」を組織に強要するリーダーは
集団に混乱を招き、惨めな敗北を誘発させているだけである。
求める勝利を得るためには、「正しい勝利の条件」としての因果関係に、
繊細かつ最大限の注意を払う必要がある。
なぜ「集団の空気」に支配されるのか
都合の悪い情報を無視しても問題自体は消えない
多くの犠牲を払ったプロジェクトほど撤退が難しい
サンクコストとは、
投下してしまったすでに回収が不可能だと分かったコストとのこと。
サンクコストの影響で撤退できなくなったプロジェクトの例としては
イギリスとフランスで共同開発された超音速旅客機「コンコルド」が有名。
最高速度マッハ2.0、パリ – ニューヨーク間を
わずか3時間45分で結ぶ“怪鳥”。
コンコルド計画の開発実施後に判明したこと

- 開発費用が当初見込みを大幅に超過することが判明
- 販売見込みに対しても、数字上の疑問が提示された
- 航空ビジネスが旅客の大量輸送へとシフトしつつあった
- 旅客数が100人で燃費も非常に悪く、新しい時代にそぐわない
「不採算」「時代おくれ」と分かった時点で、
苦渋の決断でも撤退することこそ正解だった。
最終的に開発費用は当初の5倍にも膨れ上がり、
計画を中止しなかったことでさらに巨額の赤字を生み出してしまった。
JAXA「はやぶさ」が快挙を成し遂げた背景
リスク管理によって「一部が失敗したプロジェクト」まで救える。
それを示す好例として、
JAXA(日本宇宙航空研究開発機構)の小惑星探査機「はやぶさ」による
世界初の快挙が挙げられる。
約7年間かけて60億kmもの宇宙の旅を完遂し、
小惑星「イトカワ」の微粒子を地球に持ち帰った「はやぶさ」。
しかし、途方もない距離の宇宙を往復できたのは
当初設計された機能がすべて完璧に作動したからではない。
- 太陽光パネルの劣化
- 姿勢制御機能の一部喪失・機体燃料の漏えい
- 幾度かの通信途絶
- イオンエンジンの不調など
「はやぶさ」は、設計された当初機能のいくつかを
過酷で長い宇宙空間の旅の中で喪失している。
ところが、喪失をリカバリーできる機能・対策を用いて、
すべてが完全でなかったにもかかわらず、世界初の快挙を成し遂げた。